「軟禁」という言葉が出た瞬間、友作はまた言葉に詰まった。
「今すぐ食べたいの。用意できないなら、もういいわ。食べないから」
そう言って、弥生は電話を一方的に切った。
怒りで胸が苦しかった。
やっぱり、スマホは盗聴されてるんだ。
つまり、自分がどんな電話をかけようが、どんな要求をしようが、すべて無意味ということか?
まさか、弘次がここまでやるとは思ってもみなかった。
でも、まだ他の方法があるはず。諦めちゃいけない。私は絶対に......助けを呼ぶ。
電話を切った友作は、どうすべきか迷い、仕方なく弘次のところに向かった。
弥生の要望を伝えると、弘次は無言で唇を引き結び、そして静かに言った。
「......彼女の言うとおりにして」
「でも、ホテルには......」
「ホテルにないなら、外を探せばいい。お金を払って料理人を雇ってもいい」
「彼女のそばにいられるのは、今は僕だけだ」
仕方なく、友作はその指示に従って準備を始めた。
弘次は机に指をトントンと打ち付けていたが、やがて静かに眼鏡をかけ直した。
休むはずだった体は再び緊張に包まれ、冷えた瞳がレンズの奥に沈んだ。
たかが食べ物くらい、彼女が欲しいものならいくらでも用意できる。
自分は、瑛介に劣る男じゃないと、彼女に知ってもらいたい。
弥生はとうとう部屋にじっとしていられず、子どもたちを抱えて寝室へ移した。
二人にしっかりと布団をかけ、ドアをしっかりと閉めた。
その後、スマホを手に取り、ラインを開いた。
さっきは気づかなかったが、もしかするとアプリから由奈の電話番号を検索すれば、連絡が取れるかもしれない。
弘次がアカウントを作ってくれたとき、この点までは考えていなかったはずだ。
焦っていたせいで、弥生もそこまで気が回らなかったのだ。
ちょうど番号を入力しようとしたとき、ドアベルが鳴った。
弥生は即座にスマホをしまい、ソファに座って動かなかった。
どうせ弘次か友作だろう。
どうせ部屋のカードキーを持っている。開けるつもりなどない。
案の定、ドアは開いた。
弘次がルームサービスのスタッフを連れて入ってきた。
ソファに座っている弥生を見て、弘次は少し驚いたように動きを止めた。
てっきり寝室にいると思っていたのだろう。
だがすぐに、いつもの穏やかな顔に戻り、彼女の前